2010年6月14日月曜日

Movable typeからbloggerに移行した理由

色々なブログサービスがあるけれど、結局どのブログサービスがベストなのか?
ブログを書いた経験がある方なら、最初に誰もが悩む問題だと思います。
私は大手ブログサービスを企画・運営に関わっていたこともあって、オススメはどれなのかをしばしば聞かれます。

ただ、最初に言っておくと、完璧なブログサービスというものは存在しないと考えています。
多くのユーザーを集めているブログサービスは、それぞれ長所があります。
ブログを書くことによって何を達成したいかによって、最適なサービスは決まってくるんじゃないかというのが最近の私の結論です。


ノマドワーカースタイルは、Bloggerを利用して運営しています。

ちなみに、これまで私はMovable typeを長年利用していました。
Movable typeの拡張性とSEOとの相性の良さもあって、自分流にかなりカスタマイズできるところまでスキルを身につけてきました。ビジネスユースに関しては有料ですが、それでも活用するメリットは感じています。

そんな私が今回、Bloggerを選択した理由を皆さんに紹介したいと思います。

Movable typeを使っていて感じた不便さ
まず、Movable typeを運用していたときに困っていたことをリストアップしてみます。
Movable typeはWordpressと並び評されるブログサービスですが、使っているうちに不便さを感じるようになりました。

それは逆に言うと、これはそのままBloggerの長所にもなっているということです。


(1)セキュリティ対策を自分でしないといけない。アップグレードも自分で行う。
Movable typeはブログのプログラムを自分でサーバにインストールして、ブログ構築環境を自分で準備しないといけません。とてもカスタマイズがしやすいというメリットがある反面、セキュリティーホールを自分で解決しないということでもあります。それはMTやWordpressを使っている者の宿命ですね。

そうなると、セキュリティーホールが見つかる度に、自分でパッチを当てたり、アップグレードすることが必要になってくるんです。Wordpressと違って、MTではアップグレードの作業が複雑でした。(ボタンワンクリックでアップグレードできるというような簡便さが欲しかったところです。)

アップグレードの際は、データのバックアップという神経を使う作業も自分でやらなければいけなくなります。

ブログを書くという本来の業務に加えて、プラットフォームをメンテナンスする時間と労力がとられてしまうわけです。最初のうちは何事も勉強と思って楽しくできるのですが、長くやっているとそれは非常に重い作業でした・・・その点、Bloggerなどのブログサービスでは、そういった作業はサービス提供者(この場合はGoogle)がやってくれます。

そのため、ブロガーは「書くこと」に集中できるわけです。


(2)アップグレードをすると対応していないプラグインがでてくる
Movable typeではメジャーアップグレードが2年周期くらいで繰り返されてきました。
(現在はMovable type 5がリリースされています)

アップグレードごとにMTの魅力が増していくのですが、困ったこともありました。
それは、愛用していたプラグインが突然使えなくなることです。

初期に作られたプラグインだと開発者がすでに開発を停止していて、新バージョンのMTと互換性がないまま放置される事態が発生するのです。

そうなると、自分のブログの一部機能を放棄せざるを得ず、最悪の場合はサイトのコンセプトが成り立たなくなる場合もあります。

そのためもあってか、未だにMovable type3.3でブログを構築している方も多いようです。

安心してそのサービスを利用するには、同じ機能を継続して使い続けられることが特に重要です。
カスタマイズが自由自在なところがMTの魅力の一つです。

ただ、その魅力が開発コミュニティの活発さの度合いによって大きく揺らいでしまうのは辛いものがあります。

もちろん、これはMovable typeだけに限ったことではありません。

現在ではすったもんだがありまして、Wordpressへ移行するユーザーが増えている事情があります。
そのため、Movable typeの魅力的なプラグインが無償で提供される機会が減ってきている実情があります。


(3)テンプレートが欧米化。フォントが日本語に最適化されていない。
Movable typeのスタイルライブラリで提供されているテンプレートは、その多くが英語ブログ用にデザインされています。

そのまま日本語のブログに適用すると、文字が極端に小さくて読みづらかったり、行間が狭かったり、なぜか明朝体で表示されてしまったり・・・

それなりにきれいなデザインでブログを書こうと思ったら、テンプレートを修正して見やすくしてあげる必要があるわけです。

英語ブログ用にテンプレートが作られているという点ではBloggerも一緒ですが、最近は「ドラフト」というデザイン編集機能が付いたため、CSSが使えなくても日本語でもかなりきれいに表示できるようになりました。

ブログを作ろうと思ったらすぐに素敵なテンプレートが利用できれば、モチベーションが一気に高まります。意外と見過ごされがちですが、大切なポイントです。

日本のブログサービスの中には、テンプレートを充実させているところが多いです。
内部のデザイナーさんが作ったものや(オフィシャルテンプレート)、ユーザーが作って共有したものなど様々です。テンプレートの充実に普及の鍵があると考えて、とても力を入ている会社もあるほどです。

(4)再構築に時間がかかる
Movable typeは記事を書いたり、テンプレートを更新するごとに、サイト全体を「再構築」する必要があります。

ブログの記事の数が増えて、カスタマイズも重ねていくうちに、再構築に時間がものすごくかかるようになるのです。

MT4.2以降は、再構築が高速化されましたが、それでも10分以上かかるケースも見られました。

(最悪の場合、途中でエラーが発生します。ブログ自体が壊れたかと思って、そのたびにビクビクします・・・)


ブログを書くにあたってプライオリティを置いたポイント
以上の不便さを感じていた私としては、ノマドワーカースタイルを作るに当たって、何を優先するかを考えたわけです。

  • 作業効率が高い
  • 書くことに集中する
  • SEOに頼らずソーシャルなつながりを大切にしたい
  • ブログパーツでカスタマイズできる
  • デザインのカスタマイズが出来る

ブログとは、自分をプレゼンするためのツールの一つです。
忙しい日常の中で、自分の考えていることを、自分と繋がりを持っている人たちと共有しながら、デザインによって世界観とともに伝えていきたい。

そこで最終的に選んだのがBloggerでした。


(1)作業効率が高い
普段、知人や仲間との情報共有や連絡にGoogleのサービスを活用しています。iGoogle, Gmail, Googleカレンダー, Googleドキュメント、Googleリーダー、Picasaなどなど。

BloggerはGoogleのアカウントを持っていれば、それらのサービスと連携してシームレスに使うことができます。

私はいつもGoogleにログインした状態で仕事しているので、Bloggerの管理画面でIDとパスワードを毎回入力する必要がありません。

管理画面を通じて、Picasaの画像をそのまま使うこともできますし、Feedburnerやウェブマスターツールといったウェブ管理者必須ツールの設定も簡単です。

各サービスの間を行ったり来たりする必要がないので、とてもスムーズにブログの執筆作業ができるというのが実際やってみた感想です。

ノマドワーカースタイルは写真を使うことが多いので、画像の保存容量が多いPicasaを写真のストレージとして使えるのも大きいです。


(2)書くことに集中できる
BloggerはGoogleがホスティングしているサービスなので、WordpressやMovable typeのように自分でプログラムをサーバにインストールする必要はありません。アップグレードやセキュリティパッチを当てるなどの作業も必要なくなります。

「Googleのサーバが落ちたらなにもできないじゃないか?」と考える人もいるかも知れませんが、Googleのサーバが落ちるよりも、非プログラマの私がトチって、プログラムが動かくなる確率のほうが圧倒的に高いです。

その分、私としては書くことに集中することが出るわけです。そうなると、内容に妥協が許されなくなります。書くことが全てになるので、言い訳ができない環境に自分を置くことにつながり、良いプレッシャーが生まれます。

ちなみに、無料のサービスですが、Bloggerでは広告が表示されないのも気に入っています。


(3)デザインのカスタマイズが出来る
Blogger in Draftにテンプレートデザイナーが実装されてカスタマイズが簡単できるようになりました。

CSSやHTMLの知識がなくても、日本語に最適化されたデザインを自分で作成することができます。
もちろん、ベストのものに仕上げようとすると、複雑なタグの操作が必要ですが、それはおいおいやれば良いことです。

ブログの立ち上げ時に、「やっつけ感」があると、書いている自分も気乗りしません。デザインはブログを長く続けるのに必要な要素だと感じています。

また、Bloggerのコミュニティが提供している沢山のテンプレートが利用できる点も見逃せません。
日本語に最適化しようとすると、それなりのCSSの知識が必要になりますが、0から構築するよりは迅速に仕上げることができます

あと、デザインではありませんが、自分の世界観を伝える要素としてドメインも重要です。
Bloggerでは無料で独自ドメインを設定することができます。Wordpress.comは有料)

ノマドワーカースタイルも独自ドメインで運用しています。
(最初はknowledgefields.blogspot.comというURLでした。)

もちろん、ドメイン取得料は別途かかりますが、年間1000円未満で取得可能です。
私の場合、ムームードメインで取得したドメインを使っています。
(独自ドメインの設定の仕方もこのブログで後日紹介したいと思います)


(4)ブログパーツでカスタマイズできる
これはもちろんMovable typeでもできることですが、ブログサービスによってはJavascriptのスニペットを利用したブログパーツを使えない場合があります。
Bloggerは最低限、私が使いたいものに関してはとりあえず問題なかったです。


(5)SEOに頼らずソーシャルなつながりを大切にしたい
Google Friend Connectなどのサービスで、TwitterユーザーやGoogleユーザーとコミュニケーションが可能です。
自分が他のブログのメンバーになると、Googleリーダーでそのサイトの更新情報が確認できたりします。
まだまだ日本では認知度が少ないサービスですが、Googleもこの点に関しては積極的に開発を進めているので、今後に期待したいところです。


このエントリーをまとめる過程で、ブログサービスとブログを書く目的というのは切っても切れない関係だということに気がつきました。
漠然とブログを始めると、なんとなく有名どころを選んでしまいがちです。
自分にとって何が目的で、そのために何が優先されるのかを考えることは、より良いブログサービス選びに、しいては良いブログ運営につながるということなのかもしれません。
そういう視点でブログサービスを選んでみると、意外と新しい発見があるかもしれませんよ。