2010年6月27日日曜日

感想『ネットがあれば履歴書はいらない』佐々木俊尚

先週読んだ本の中から、このブログのコンセプトにマッチした一冊『ネットがあれば履歴書はいらない』を紹介します。

ノマドワーカーやフリーランスが、ソーシャルメディアを通じてどのように情報を発信していけばよいのか、その方向性を指し示してくれる一冊です。行き帰りの電車の中で読めてしまうコンパクトさですが、情報の伝えてにとって示唆に富んでいます。


ネットがあれば履歴書はいらない-ウェブ時代のセルフブランディング術 (宝島社新書)ネットがあれば履歴書はいらない-ウェブ時代のセルフブランディング術 (宝島社新書)
佐々木 俊尚

宝島社  2010-01-09

Amazonで詳しく見る

面接をする企業の担当者は、面接に来た人の情報を事前に検索する「エゴサーチ」を行うケースが増えたと紹介しています。エゴサーチは、ウェブ上で何か噂されていないか、トラブルはないかなど、個人のマイナス面をチェックするために行われることが多いようです。

佐々木俊尚氏は、むしろそういう状況を逆手にとって、ソーシャルメディアを活用して自分から情報発信をしていくことを勧めています。企業に依存しないノマドワーカー、特にフリーランスにとっては、「自分ブランディング」の確立は大きな意味を持つためです。

そのためには、自分の持っている情報を惜しみなくさらけ出すこと、そして自分のアイデンティティを明確にすることが大事だと佐々木氏は説いています。ただし、企業に属している会社員の場合、実名で書き続けることが難しい場合もあるでしょう。勝間和代氏は「実名を出すべき」だと主張する急先鋒ですが、佐々木氏は必ずしも実名でなくてもOKと言います。実名であれば信頼できるというわけでもありませんし(実名で犯罪に手を染める人も多い)、各ソーシャルメディアで同じユーザーID or ユーザー名を使うだけでも良い。大事なのはその人が何を言っているかである。実際に有名ブロガーの中には実名を知らせていない人も多いのが実情。ネット上で評判が高まれば、その人が何かをしようとしたときに手を貸してくれる人がきっと老いに違いありません。

佐々木氏は、これからの世の中では、高い専門性をもって何かの専門家になるか、コミュニケーション能力を活かして経営者になるか、いずれかのスキルを有していることが重要と述べています。

この一冊を読み終わって感じたのは、言うは易く行なうは難し、ということですね。
ソーシャルメディアが個人の営業ツールになりうることは頭で分かっていても、そのためには誰にも負けない専門性を備えていなければなりません。継続してブログやTwitterに人をひきつけるためには、他の人が持っていない情報を常にアウトプットしていかなければいけないわけです。そのためには、経験をつむことが必要ですし、その経験を自分の血と肉に変えていくことが求められます。

さらに、その上で、自分を魅力的に伝える表現力・プレゼン力を備えることが必要なわけです。それは、正直並大抵なことではないと思います。とにかく、最初はブログを90日間書き続けよう。そう改めて決意させられた一冊でした。