2010年9月30日木曜日

Gmailのスレッド表示を無効にするオプションができた

一部のユーザーに「不評」だったGmailのスレッド表示。今回、それを無効にするオプションができました。

スレッド表示というのは、同じトピックのメールをグループ化する機能のこと。
単純に時系列で並ばないため、改善を求める声が多かったようです。例えば、グループ化されてしまうと、ショップの注文メールやサポートメールのように同タイトルで配信されるメールが一つにまとめられてしまいます。どこまで対応したかが分かりづらいですし、そのためにGmailへの移行を躊躇する人もいました。

このオプションは、一般のGmailとGoogle Appsのユーザー向けに公開されるということです。


↑スレッド表示をされると同じトピックのメールがグループ化されます。これまでのGmailの「伝統」で、他のメールサービスと差別化するひとつの要素でもあったんです。


↑スレッドビューでは、メールを見るとこんなふうに表示されます。


↑それを今回、スレッド表示を無効にするオプションを提供。先程までグループ化されていたメールが解除されています。


↑設定をするにはGmailの「設定」>「全般」>「スレッド表示」「スレッドビューを無効にする」にチェック。デフォルトでは有効になっています。


個人的には、スレッドビューに慣れてしまったので、無効にすると自分が返信したかどうかが分かりづらいかなあ、という印象は正直あります。

ただ、同じ件名のメール(問い合わせメールなど)を受信する人にとっては、こちらの方が管理がしやすいと思います。というのも、同じ件名でも別々のグループに振り分けられることがあって、その辺のルールが明確でなかったためです。

このオプション追加で、ビジネスユースにより最適化されたと言ってもいいかもしれません。

2010年9月28日火曜日

Google Chromeでコピーした文字をプレーンなテキストで貼り付ける「Auto Copy」

先日の記事でGoogle Chromeを使った日経新聞の電子スクラップ術をご紹介しました。
最近ではChromeの拡張機能も増えてきて、利用の幅が広がってきた印象があります。

今回はChromeでコピーした文字をプレーンなテキストで貼り付けられる「Auto Copy」という拡張機能をご紹介します。しかもコピーをするには文字をなぞるだけ。わざわざCtrl + [c]を押さなくてもOKという優れものです。

Auto Copy
https://chrome.google.com/extensions/detail/bijpdibkloghppkbmhcklkogpjaenfkg

ウェブサイトの文字をOfficeソフトやGoogle Docsなどにコピペすると、書式までそのまま貼りついてしまうケースがよくありますよね。フォントサイズや文字色がそのまま引き継がれて、おまけにリンクまでひっついてきたという経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか?

先日、Google Chromeのバージョンアップで、Crtl + Shift + [v]を使うと書式なしの貼付けができる機能が付きました。しかし、この機能は残念ながらChrome上でしか利用できません。Chromeで貼りつけた文字を、Officeソフトなど、別のアプリケーションを使ってペーストしても、これまでどおり書式が引き継がれてしまうんです。

この厄介な問題を解決してくれるのが「Auto Copy」です。

Auto Copyは、コピーをする段階で書式を省いてくれるので、どのアプリケーションでもプレーンなテキストとして貼り付けができます。

Microsoft Wordに貼りつけた際の比較をしてみました。

↑貼りつけたい文章をこのようになぞって範囲指定


↑普通は元の書式がそのまま張り付けられてしまう


↑Auto Copyを使うとこんな感じで、書式なしのテキストとして貼付けできる


Auto Copyの設定はとってもシンプル

↑Auto Copyをインストールします。


↑拡張機能をインストールしてもアイコンは表示されないので、「ツール」>「拡張機能」>「オプション」をクリックして設定画面へ


「Copy as plain text (Due to an issue in Chrome 6 this option must be enabled)」にチェックが入っていればOK 。Chrome6.0以降は自動的にチェックが入るようです。

また、テキストボックに入力された文字も「なぞっただけでコピー」の対象にしたい場合は、「Enable in text boxes 」にチェックを入れます。見ているウェブページのURLをコピーして、メールで送りたい場合などに使えます。アドレスバーに表示されているURLをなぞるだけ。Ctrl + [c]をすることなくコピーできます。

そして、コピーしたテキストと一緒に、ページのURLも一緒に貼り付けたいなら「Include URL (Note: this option requries copy as plain text) 」にチェック。ブログで引用するときに、URLもまとめて貼りつけたい時に使えそうです(が、使ってません)。

Chromeの新機能で書式なしの貼付けはできるようになりましが、Auto Copyの「なぞるだけでコピー」は新機能を一歩も二歩も先に行ってる印象です。ただし、無意識のうちに文字をなぞってしまって、貼りつけたかった文章がどこかに行ってしまったということのないように・・・

2010年9月27日月曜日

日本経済新聞 電子版をEvernoteにスクラップする方法


日本経済新聞の電子版は、今年の2月にリリースされて半年余りが経過しました。私は電子版を利用して、記事のスクラップをEvernoteに蓄積させています。電子版ではすべての記事が電子化されているので、スクラップブックを紙からデータにリプレイスできるようになったことが大きいです。新聞のレイアウトを実現する機能もありますが、それよりも紙の新聞の記事を全て電子化した功績の方がはるかに重要だと思っています。

さて、私は常々、Evernoteが、関心に基づいたデータ収集・管理に向いていると思ってきました。カテゴリ分けやタグ付けが簡単で、情報を体系的に整理することができるためです。全文検索があるので、検索性にも優れています。

このようなツールは、スクラップ帳のように、日々の情報を集積するにはうってつけです。今後、日経電子版+Evernoteの組み合わせは、新聞スクラップの電子化の流れを一気に加速すると予想されます。

かつては、スクラップをする時には、カッターナイフ、ノリ、台紙が必要で、作業は一苦労。ところが、電子スクラップではブラウザを立ち上げるだけで準備は終了。作業効率が大きく向上します

そこで今回は日経電子版の記事を、効率的にEvernoteにスクラップする方法をご紹介します。


Chromeの拡張機能でのクリップがベスト
Evernoteにクリップする際、多くの方はEvernoteの拡張機能やブックマークレットなどを活用していることでしょう。ただし、Evernoteにクリップすると言っても、使用するブラウザによって使い勝手が大きく違います。

スクラップをするということは、後で読み返すかもしれないということを意味しています。
つまり、肝心なのは、スクラップした記事を読み返すときに、最も読みやすい方法を選択することなのです。

それでは、まず前提として、私たちがどういうシチュエーションで読み返すかを考えてみましょう

  1. Evernoteの専用ソフトを使ってPC上で閲覧する
  2. 移動中にiPhoneのEvernoteアプリで読む
  3. カフェやデスクなどでiPadのEvernoteアプリで読む

私はスクラップする際に、記事にタグ付けをして、収集した情報を関心に応じてカテゴライズしています。新聞を見るときにはそれらをフックに読んでいくわけですが、最近ではiPhoneやiPadでスクラップ記事を読み返すことが多くなりました

知識を血肉化するためには、この「読み返し」という作業はとても重要です。そのため、私にとって、蓄積した情報はiPhoneやiPadに最適化されていることが必須です。

「読み返す際に、最も読みやすい」という観点から一番のおすすめは、Chromeの拡張機能「Evernoteウェブクリッパー」です。Chromeの拡張機能は、デフォルトの設定のままはNGですが、簡単な設定をしてあげることでiPhone/iPadでの閲覧がものすごく楽になります。

加えて、読みやすくするためには、「きれいにスクラップする」ことも大切。余分なものがスクラップされていたり、逆に肝心な情報が抜けてしまうようでは困ります。これくらい高度なブラウザなら簡単にできそうなものですが、Chrome以外は、その要件を満たすことができませんでした。

それでは、先程述べた「簡単な設定」について説明しましょう。

Chromeで「ツール」「拡張機能」「オプション」「スタイルを無視してクリップ」

これだけです。

なぜ「スタイルを無視してクリップ」を選択するのか?
一つめの理由は、iPhoneやiPadのEvernoteアプリで閲覧したときの、文字の大きさを最適化するためです。フォントのスタイルを維持したままだと、iPhone/iPadでは文字が小さすぎて快適に閲覧することができませんでした。余計なスタイルを付与しないことによって、アプリ上で文字サイズを最適化してくれるため、ストレスなく読み返しができるようになるわけです。

二つめの理由は、余計なタグをEvernoteに保存しないためです。Firefoxのアドオンや、Internet Explorerのウェブクリッピング機能を使って保存した場合、EvernoteにJavascriptの文字列が保存されてしまうことが分かりました。「スタイルを無視してクリップ」にチェックを入れないとChromeでも同じ問題が発生します。そういうタグが入ってしまうと、後で見返すモチベーションが低下します・・・ 余分なタグを保存してEvernoteの容量を増やさない、また読み返すときに苦痛にならないという二つの点で大切です。

↑こんな感じでJavascriptのコードがそのまま表示されてしまう。将来、日経のサイトが変更されれば修正される可能性もありますが、現状では余分なコードがついてしまいます。


スクラップまでの流れ
それでは次に実際にChromeでEvernoteにスクラップするまでの流れです。

↑記事を表示します。

↑タイトルと記事の部分をコピー

拡張機能のEvernoteボタンをクリックします。

↑タイトルの最後に日付を入力します。「20100927」というように。日経記事のHTMLのメタタグTitleに日付がないのは残念・・・ここで余分な作業が発生しますが、あとで読み返すときに大切なので必ず記入するようにします。
これで「保存」ボタンをクリックするとEvernoteに転送されます。


[関連記事]

2010年9月22日水曜日

【書評】明快に書く!心をつかむ文章力

明快に書く!心をつかむ文章力 (知的生きかた文庫)明快に書く!心をつかむ文章力 (知的生きかた文庫)
阿部 紘久

三笠書房  2010-09-21
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本書は、論理的で明快な文章の書き方を、一般向けに分かりやすくまめています。文書の添削例が豊富に掲載されているので、文章が上達する具体的なノウハウを効率的に身につけることができるのではないでしょうか。

興味深かったのは、日本経済新聞の文書を筆者が添削していることです。先日、私もTwitterでつぶやいたのですが、新聞の文章をよく読むと理解出来ないものが多い… なぜなのか? 「自分に読解力がないから?」とついつい思いがちですよね。ところが、本書は、書き手の側に問題があることを明快に示してくれています。

この本は一般の人に向けて書かれていることも好印象です。文学的な名文を書くための文章術ではなく、仕事や趣味(ブログなど)で書く文章を明確にま分かりやすく伝えるためのノウハウが詰まっています。

2010年9月20日月曜日

フリーランスのための受注が増える無料のSEOクックブック


フリーランスの写真家にストック写真販売のシステムを提供するPhotoShelter。写真を売りたいフリーランスと、写真を購入したいユーザーをマッチングするマーケットプレイスを提供しています。

フリーランスの写真家のために、不定期に配信している無料のウェブコンサルレポートを発見しました。ブログ運営やソーシャルメディアの活用方法などのノウハウがPDF形式でダウンロード可能。内容もクオリティーの高いものになっています。今回、新たにSEO編がアップされました。英語ユーザー向けに作られたものなので、日本語では適用できない部分もありますが基本的なポイントは網羅されています。

Photo Shelter - Free Reports
http://www.photoshelter.com/mkt/research/

項目ごとに「やっていいこと」「やってはだめなこと」などがまとまっていて、時間がない場合にはここをさっと読むだけでも十分。最後にチェックリストがまとまっているので、自分に足りない部分を確認しましょう。私の知人にはフリーランスの写真家も多いので、今回はこのレポートを紹介させていただきました。英語の勉強にもなるので、ぜひ一度チェックしてみてはいかがでしょうか?


写真家の事例が興味深い
レポートの中でコラム形式で3人の写真家の実例が紹介されていました。フリーランスのSEOを具体的な事例でまとめられています。

ここでは簡単に要約します

事例1:

ニューヨークの写真家、エド・マルホランド。プロ・スポーツが専門で、SEOに取り組み始めてからは、これまでリーチできていなかった顧客からの問い合わせが増えたとのこと。選手・チーム・リーグ(NFL、NHL、UFC、ボクシングなど)に関連するキーワードに注力したところ、NFL Stock Photographyなどの主要キーワードで軒並み上位表示に成功。たったの数カ月で結果が現れたと紹介されています。

エド・マルホランド氏が行ったのはブログを中心としたサイト作りだそうです。写真をアップしたら短いブログ記事を投稿します。ブログには写真をいくつか掲載して、自分のメインサイトにリンクをします。ブログには同じキーワードを記載しておきます。

「これまでフォトグラファーとして多くの時間を撮影に費やしていきました。いい写真を取るためにどうすればいいのかを考え続けてきました。しかし、潜在的な顧客に自分の写真をどうやって見つけてもらうかをもっと考えるべきでした。ウェブ上で写真をプロモーションする計画を立てて実行する。そこに時間を費やす価値は十分にあるでしょう。」

ポイント

  • ブログからメインサイトへのリンク(外部リンク)の重要性
  • キーワードを同じにすることでリンクの関連性を高めることの重要性


事例2:
ペル・カールソン氏はワイン、グルメ、旅行に関する写真を専門にしてます。Wine Picture Blogを開始した2005年からSEOに取り組み始めました。「wine picture」というキーワードをターゲットにして、現在では「wine photography」「wine photos」「stock photography wine」といった関連ワードにも対応しています。

また、ワイナリーの名前でも上位に表示されるように務めているとのこと。彼はワイナリーの写真をこれまで多く撮影し、ギャラリーを作成しています。ギャラリーにはテキストによる説明文があるのですが、カールソン氏は重要なキーワードを含めるように慎重に書いているそうです。

彼は1日に1時間から2時間はSEOの関連業務に費やしています。毎日「今日のワイン写真」をブログにアップ。ブログ記事は(1)写真、(2)キャプション、(3)PhotoShelterのブログパーツを使ったスライドショー、(4)文章から構成されています。そして、PhotoShelterのサイトにアップした200を超える全てのギャラリーへのリンクをサイドバーに表示しています。ブログ記事を素早くアップすると順位の上昇に効果的とのこと。

カールソンは複数のブログを持っていて、ブログどうしリンクを貼り合っています。また、ブログをアップしたらTwitterやFacebookに書き込むなど、ソーシャルメディアを活用した取り組みもしています。

ポイント

  • 日常の仕事の中にSEO関連のタスクを組み込む(継続は力なり)
  • ブログから写真販売サイト(PhotoShelter)へのリンク
  • 写真をキャプションやテキストで適切に説明する
  • TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアの活用


事例3:
ジム・ゴールドスタイン氏は2001年からSEOに取り組んでいる風景や旅写真を専門にする写真家です。新規の問い合わせのほとんどが検索エンジン経由とのこと。当初はウェブサイトのトップページのSEOを行っていましたが、ブログ記事や個別ページの最適化に関心がシフトしていきました。最近ではGoogleイメージ検索のSEOにも注目してるようです。

競合分析を実施して、キーワードの調査を行ないます。重要なキーワードは、メタタグのtitleやdescription、コンテンツ、アンカーテキスト、URL、ブログカテゴリーの中でかならず使うようにしています。


ポイント

  • 競合分析に基づいたキーワード調査の重要性
  • キーワードをtitle、description、アンカーテキストなどで利用して最適化する


写真という特性もありますが、ブログを活用して本サイトを補足する写真家が多いようです。その際に重要になるのが、キーワードとリンク。最近では高度なテクニックが紹介されることも多いですが、こうしたベーシックなことをきちっとやることが一番効果的だったりします。基本的なことを継続して毎日少しずつ実践することが大切ということが分かります。

2010年9月17日金曜日

iPhoneのEye-Fiがバージョンアップして、やっと実用的に。

iPhoneのEye-Fi公式アプリが大幅にバージョンアップしました。

Eye-Fiとは無線LAN機能を内蔵したデジタルカメラ用SDメモリーカードで、私は二年ほど前から愛用しています。SDカードを入れたまま、デジカメのスイッチをいれると、自動的に自宅の無線LANルーターに繋がって、オンラインサービス(私の場合はFlickr)とPCのローカルフォルダに転送してくれる仕組みです。

デジカメをケーブルでPCに接続したり、SDカードをPCのスロットに差し込む手間から開放してくれるので、ネット環境の効率化に一役買ってくれています。

Eye-Fiでは、アカウントを作成すると、iPhoneで撮影した写真をアプリ経由でオンラインサービスやパソコンに自動転送してくれます。Eye-Fiを購入した顧客向けの”粋”なサービスといった感じです。そのEye-Fiアプリに以下の機能が追加されて、ようやく普通に使えるようになりました。

  • 動画のアップロード
  • iPhoneのキャプチャ画像のアップロード
  • アプリ上でのオンラインサービスの送信先の設定

位置情報サービスを「オン」にする
↑Eye-Fiアプリから写真を転送するには位置情報サービスを「オン」にしないといけないようです。「設定」を選択します。

「設定」「一般」「位置情報サービス」をクリック。一番上の「位置情報サービス」がオンになっているのを確認して、Eye-Fi Freeを「オン」にします。これで基本設定は完了。

↑次にEye-Fiアプリを起動します。iPhoneで撮影した写真が読み込まれます。転送したい写真にチェックを入れて「送信」ボタンをクリックします。

↑転送中。。。完了すると、マナーモードだとiPhoneがブルっと震えて教えてくれます。
それでオンラインサービスに写真が転送されます。

転送先のオンラインサービスの設定はPCのEye-Fiマイページとシンクしています。
今回からはアプリ上で転送先の設定をすることができるようになりました。

写真のバックアップのためにも是非活用したいサービスですね。

2010年9月14日火曜日

【書評】新聞で学力を伸ばす 切り取る、書く、話す(斎藤孝)

新聞で学力を伸ばす 切り取る、書く、話す (朝日新書)新聞で学力を伸ばす 切り取る、書く、話す (朝日新書)
齋藤 孝

朝日新聞出版  2010-08-10
売り上げランキング : 3967

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今どき「新聞」?甚だしく時代錯誤で、世の中の空気を読みそこねている!?

タイトルだけを読んでそう判断したとすれば、この本が与えてくれるはずのもの多くのものを失うことになるでしょう。なぜなら、いまを生きる上で極めて重要なことを説いているのですから。

この本は、筆者が小学生~高校生の授業で実践した、新聞読解の授業の成果をもとに書かれたものです。子供が実用日本語力を伸ばしていくことの大切さや方法について書かれたものですが、読み進めるにつれてある感覚が芽生えてきます。それは、日本の国語教育で実用日本語力を修得できなかった現代の大人たちに向けて本書が書かれたものではないかというものです。

筆者は、論理的に説明するために必要な「実用日本語力」というスキルが、日本の教育でいかにないがしろにされてきたかを説いています。彼が初等教育~高等教育で実践して教えたスキルは、子どもだけでなく大人こそ身につけるべきだと暗に主張しているように思いました。これは、コピペ文化が身につき、主観にまみれたネットの情報にさらされることで、事実と主観を区別できなくなったウェブユーザーへの警鐘とも言えるでしょう。

ただし、大人と子供では、もちろん情報収集の基準は異なると私は感じています。子供の頃は好奇心の赴くままに幅広い情報を集めることが大切です。しかし、自分の関心領域の外に情報収集の網をかける行為は、一定のスキルを保持したビジネスマンが同じようにするのは非生産的です。むしろ、自分の関心領域を深めて、専門性を高めていくような情報収集こそが求められると思っています。そこに注意しながら本書を読んだ方が良いでしょう。

しかし、それにもかかわらず、筆者が本書で提案している新聞の読解方法は、ウェブ時代においても有効です。いや、むしろ情報が氾濫するウェブ時代においてこそ、こうしたベーシックなスキルが求められていると言えるのではないでしょうか。

筆者が提案する方法は誰でもできる簡単なもの。新聞記事をスクラップして、主題(メインメッセージ)、補足情報、その影響と意義を記事ごとにまとめるだけ。それに加えて、なぜ自分がその記事を選んだのか、そして何を考えたのか(意見)を簡潔にまとめます。

新聞記事から得た「事実」をもとに、事実関係を明確にして、自分なりの意見や見解を30秒で説明する。その繰り返しが生徒たちの「実用日本語力」を引き伸ばした実績について触れています。
私が会議や報告の場で感じるのは、そこが曖昧な人ほど説明が長く間延びしがちだということです。
筆者の言うところの「言いたいことを簡潔にまとめて発表する」スキル(それこを日本社会でいま必要とされる能力)が欠如しているわけです。

実は私も日経新聞のウェブ刊を利用して、ネット上で電子スクラップをしています。


筆者のように明確な方法論があるわけではありませんが、「事実」を積み重ねることの重要性はスクラップを継続すると痛切に感じます。単に「事実」をスクラップするという行為の繰り返しなのですが、毎日実践することで、その事実が立体的に浮かび上がってくる瞬間があります。そこに初めて自分の視点が生まれて、オリジナリティが際立ってくると思うのです。

ネットの空間はともすれば自分の都合のいい事実だけを収集して満足しがちです。新聞という一見古いメディアは、まだまだ現代でも十分に活用できることを証明してくれる一冊だと思います。