2011年3月11日金曜日

【書評】クラウドHACKS! 同期と共有でラクチン・ノマドワークスタイル

結論から言うと、クラウドハックというよりも「アウトプットハック」の方がしっくりくるような一冊でした。

クラウドHACKS! ―同期と共有でラクチン・ノマドワークスタイルクラウドHACKS! ―同期と共有でラクチン・ノマドワークスタイル
小山龍介

東洋経済新報社  2010-12-03
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『クラウドHACKS』は小山龍介さんのHACKシリーズの最新刊。昨年12月に発刊されたものをようやく手にして読んでみました。約250ページと読み応えがありますが、セクションごとに細かく区切られて読みやすい。目次を見て興味があるところから読み進めても多くを吸収できるでしょう。クラウドに関心があるけど、本をじっくり読む時間がないという方にもおすすめです。

ただ、クラウドに関心があるなら、本書で紹介されているサービスはひと通り知ってるという方が多いかもしれません。この点に関しては賛否両論あるようですが、サービスの内容や利用の仕方に関して、ベーシックなところを確実に押さえておくというのが今回の趣旨のようにも感じます。

クラウド化によって仕事のリアルタイム化、働く場所の自由化=ノマドワークスタイルがもたらされたという認識のもと、集合知の活用法、独自のインデックス読書術、クラウドコラボレーションなどの方法が具体的に紹介されています。小山さん自身が、様々なガジェットやウェブサービスをどのように使いこなしているかが分かります。単にサービスの紹介で終わるのではなく、実際に小山さんが利用していることが感じられて好印象です。


そのテイストがガラリと変わるのが第6章。
ここから一気に引きこまれていきます。

アウトプットにつなげるために、集合知によって集められたバラバラな情報をいかに統合していくか?

それが「小山流アウトプットハック」の問題意識です。
集合知は私たちに多くのものをもたらしてくれますが、新しい意味の構築や、創造的なアウトプットには向いていません。そこは、一人の革新的な個人の能力がなせる技。そのための方法論を説いたのが第6章です。

意識化されたものを書きだしてロジカルに情報を組織化するのではなく、無意識の領域から引っ張り出すようにして書き出していく方法論が紹介されています。『クラウドHACKS』の執筆でも実践された方法でもあるようです。ロジックを外したところでアウトプットする「プライベートライティング」という手法や、Twitterを活用した方法で既存の要素の間に新しい意味を作り出すやり方が具体的に紹介されています。


本書の続編で、アウトプットに焦点を当てて、さらに深堀をしてほしいと感じました。

現代の社会ではクラウドによってノマドワークを実践する環境が整いつつあります。
しかし、ともすればクラウドを活用することや、ノマドになること自体が目的になりかねない雰囲気もこの社会にはあります。その意味では、アウトプットにつなげるために、クラウドを利用し尽くしている小山さんのスタイルから学ぶことは多いです。

もちろん、著者のように皆が物書きになれというわけではありません。アウトプットの内容は人それぞれでしょう。肝心なのは、アウトプットすることによって自分がどうなりたいのか、そして自分を取り巻く社会にどういうインパクトを与えたいのかを、問題意識として持ち続けることなのかもしれません。


クラウドHACKS! ―同期と共有でラクチン・ノマドワークスタイルクラウドHACKS! ―同期と共有でラクチン・ノマドワークスタイル
小山龍介

東洋経済新報社  2010-12-03
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Chapter1 データハック
      クラウドライブラリーとインデックス読書術
Chapter2 情報収集ハック
      エージェント活用と情報の自己組織化
Chapter3 ノマドワークハック
      遊牧とヨソモノ感覚
Chapter4 クラウドタイムハック
      クラウド時間とライフログ
Chapter5 クラウドチームハック
      プロセス管理とチーム連携
Chapter6 アウトプットハック
      アウトプット集中力と「天才」への道
ChapterX クラウド手帳ハック
     点から線へ

2011年3月9日水曜日

Microsoft OfficeからGoogleドキュメントにファイルを即時アップするcloud connect

ドキュメントを共有する際に、Googleドキュメントを活用する方も多いと思います。
Gmailのメール削除問題でクラウドのリスクが認知されつつありますが、チーム内での情報共有や業務効率の改善に、クラウドは欠かせないツールの一つです。

私もビジネスやプライベートでGoogleドキュメントを利用していますが、ローカルに保存したファイルをアップするのに少し手間だと感じていました。Googleドキュメントにアクセスして、「アップロード」の作業をしなければならないためです。

先日リリースされたGoogle cloud connectはそんな煩わしさを解消してくるMicrosoft Office用のプラグインです。Microsoft Word、 PowerPoint、Excelに対応しています。


プラグインをダウンロード
Google Cloud Connect for Microsoft Officeをダウンロードします。「Download Google Cloud Connect」ボタンをクリック。

↑「Accept and Install」をクリック

↑これで完了です。


IDの設定
↑Microsoft Officeのソフトを開くと図のようなバーが追加されています。「Google Cloud Connect Settings...」「Login」をクリックして、GoogleのIDとパスワードを入力します。

「login」をクリック。

↑GoogleのIDとパスワードを入力します。会社などでGoogle Appsを利用している場合は、「Google Appsアカウントでログイン」をクリックしましょう。

「アクセスを許可」をクリック。

↑保存時に自動的にGoogleドキュメントに転送する場合はAutomaticを、手動で行う場合はManualを選択。


文書を転送
↑このようにドキュメントを作成したら、「Sync」をクリックします。

↑Googleドキュメントにアップするには、事前にローカルに保存する必要があります。
保存先とファイル名を決めって「保存」をクリック。その後、再度「Sync」を押しましょう。

↑Googleドキュメントに無事アップが完了したら、図のようにURLが表示されます。これがGoogleドキュメント上のURLになります。


文書を共有
↑Googleドキュメント上でドキュメントを共有するには、まず「Share」ボタンをくりっく

↑共有したいユーザーのメールアドレスを入力するだけです。

↑実際にGoogleドキュメント上で表示した図。
「ダウンロード」をクリックすれば、他のユーザーもファイルを落とすことができます。
ただし、この方法でアップロードした場合は、通常のGoogleドキュメントと違って、オンライン上で編集ができないので注意を。


Googleドキュメントでの管理は、メールに添付してやり取りするよりも簡単です。Googleドキュメントは文書のバージョン管理ができるので、なにより「先祖帰り」のリスクを軽減できます。

2011年3月7日月曜日

SHOT NOTEとDocScannerを比べてみる

先日、キングジムのSHOT NOTEを紹介しましたが、実際に使ってみると斜めからの撮影に若干弱いという弱点が露呈しました。

そこで今回は、SHOTE NOTEをiPhoneのスキャン用アプリの定番「DocScannerDocScanner - Norfello Oy」と比べてみました。

さっそくDocScannerでノートの撮影をしてみましょう。

1.やや斜めから撮影
↑斜めの角度から全体が映り込むように撮影します。SHOT NOTEだと、このくらい斜めにしてしまうとエラーが発生します。そのため、SHOT NOTEで正しく撮影しようとすると真上から撮影しなければならず、手の影が入ってしまうという欠点がありました。


2.エッジを指定
↑斜め補正を正しく行うために、エッジ(=角)を正しく指定します。指でドラッグして、四隅を正しく角に持って行きます。その後「スキャン」をクリック。


3.スキャン
↑これだけ綺麗に補正してくれました。斜めから撮影しているので、手の影が入ることなく綺麗に収まっています。デフォルトでは白黒で表示されますが、下の設定ボタンを押すとカラーにすることも可能です。

↑画像の明るさやコントラストはお好みだと思いますが、アプリ内で補正できます。


4.Evernoteに転送
↑撮影した画像はEvernoteやDropboxに転送することができます。今回はSHOT NOTEとの比較のため、Evernoteに転送します。
SHOT NOTEではEvernoteに転送する際、ノートやタグの指定ができましたが、DocScannerではできないようですね。


5.Evernoteに転送
↑Evernoteに転送した図です。一番上に転送されたのが分かります。
画像のタイトルはDocScanner上で割り振られたものが適用されています。
SHOT NOTEでは、事前にアプリ上でタイトルを設定できた他、右上の日付をOCRで読み込んで、メモを書いた日を自動的にEvernoteに入れてくれるというメリットがありました。


SHOT NOTEでは撮影したノートを綺麗にリスト化されて後で見返したときに分かりやすいようになっています。単体のアプリのクオリティとしては、高いほうだと思います。その点ではDocScannerを大きくリードしていると言えるでしょう。

しかし、先日iPhoneアプリのアップデートでEvernoteもかなり見やすくなりました。また、以前と比較にならないほど「軽量化」されています。そう考えると、Evernoteに情報を一元化している人ならば、あえてSHOT NOTEを使わなくても、普段使っているノートやメモ帳で十分かもしれません。


以下、比較してみた感想です。

画像のクオリティ
◎DocScanner:斜めからの撮影でもくっきりと鮮明に表示されます。
×SHOT NOTE:斜めからの撮影に弱いため、手の影が写り込んでしまう。

Evernoteとの連携
×DocScanner:簡単にアップできますが、タグやノートの指定ができない
◎SHOT NOTE:簡単にアップできて、なおかつタグやノートの指定が可能

コスト
◎DocScanner:アプリ自体は有料ですが、どのようなノートでも良いのでランニングコストが安い
×SHOT NOTE:アプリは無料ですが、SHOT NOTEを利用することが前提のため他のノートを使うよりも割高

アプリ
◎DocScanner:OCR機能がついているので英文なら文書内のテキストで全文検索可能。
◎SHOT NOTE:撮影したノートはタイトルや日付からしか検索できないが、ノートをとった日付が自動的にOCRで読み取られるほか、文書の一覧が見やすいので後で見直しやすい。


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2011年2月18日金曜日

手書きメモをデジタル管理するキングジム「ショットノート」を使ってみた

手書きメモを簡単にデジタル化するツール「ショットノート」が発売されて10日ほど使ってみました。
ショットノートはポメラでおなじみのキングジムが手がける新しいコンセプトのノートで、iPhoneアプリと連動して、手書きメモをデジタル形式で管理するというもの。

「デジタル化」と聞くと難しい手順が必要なように思いますが、ショットノートのコンセプトは非常にシンプル
  1. 専用の「ショットノート」という紙のノートを購入し
  2. そのメモをiPhoneアプリで撮影、
  3. 日付とメモNoがOCRで読み取られEvernoteに転送する
これだけです。

Evernoteに転送しなくても、メールに添付ファイルとして送れますし、iPhoneのアプリの中に保存しておくだけでもOKです。日付とノート番号以外はOCRで読み取ってくれませんが、その分、手軽に誰でも使えるツールになっているところが好感が持てます。

ポメラもそうですが、本質的な機能に特化して、不必要な要素を削ぎ落とすキングジムの潔さがあります。不器用だけど、その分野では誰にも負けない無骨な職人のような雰囲気が漂います。


ショットノートのデザイン
↑オモテ面はこのようなデザイン。黒の他に、白があります。

↑開くとこんな感じ。四隅の四角いマーカーをiPhoneのショットノートアプリのカメラの枠に上手く入るようにして撮影します。

↑ノートの上の方にノートNo.とDate(日付)を記入する欄があります。iPhoneアプリではここをOCRで読み取ってくれます。


ショットノートからEvernoteに転送
↑書いたメモをiPhoneで撮影

↑読み取りに成功!日付とノート番号がしっかりと認識されています。タグと書いてあるのはEvernoteに送信したときに付与するタグです。デフォルトでは「SHOT NOTE」になっていますが、Evernoteの既存のタグを呼び出すこともできます。

↑Evernoteの他、メール添付やカメラロールへの転送もできます。

↑Evernoteに転送されました。

↑Evernoteを見ると日付とノートNoもテキストで入っています。

↑書いたメモを斜め上からiPhoneで撮影

↑斜めから撮影すると「マーカー検出エラー」が出ます。マーカーというのはショットノートの四隅に印字されている黒の四角い印です。

書いたメモを簡単にデジタル化するという方法は、以前紹介した名刺管理術とも似た手軽さがあります。デジタル化はあくまで手段ということを考えれば、そのための作業に時間を費やすべきではありません。その意味ではショットノートはデジタルをワークフローに確実に組み込んでいくための強力なツールになるのではないでしょうか。

ただ、ショットノートを使ってみて気になった点もいくつか・・・

  • 先ほど紹介したように、斜めからの撮影に弱いです。正常に読み込めず、再撮影を要求されるケースが多かったです。
  • ノートを一枚ずつ切り離さないといけないため、管理が保存が面倒。切り離さずに使えるリングノートタイプのものがあったらいいと思いました。
  • 撮影時にノートに影ができてしまう。真上から撮影するとどうしてもiPhoneを持つ手が影になってしまい、文字が暗くなってしまいます。
  • メモを書くときに枠にとらわれてしまう。無地バージョンがあったらいいかも。

↑こういう風に切り離さずに折って使ってはダメなようです。

私は発売日直後にSHOT NOTEを入手できましたが、この記事を書いている時点では品薄状態が続いているようで、アマゾンでは定価の数倍の値段で販売に出している業者もあるようです


一旦、しばらくしたら落ち着くと思いますので、それまで待ってもよいかと思います。


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2011年2月11日金曜日

【書評】キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる

佐々木俊尚氏の新著『キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる』を紹介します。
300ページを越える力作。単なる流行を追った他著とは異なり、大きな時代の潮流の中でソーシャルメディアのプラットフォームを論じた1冊になっています。2000年代最初の10年で最も影響力があったウェブ本が『ウェブ進化論』(梅田望夫著)だとすれば、2010年代を代表する1冊が『キュレーションの時代』と言えるのではないでしょうか?

キュレーションはウェブ進化論の次のフェーズへ
冒頭で、同じちくま新書から出版された『ウェブ進化論』に言及したのは、ひとつの理由があります。それは『ウェブ進化論』が示した世界観と、『キュレーションの時代』のそれが実に対照的だからです。敢えて単純化して言えば、前著がGoogleが主導する情報検索のテクノロジーに焦点を当てたのに対して、後者は情報を切り出す「人」に重きを置いています。

『ウェブ進化論』では、ゴミ(石)と宝(玉)が混在する(=玉石混交)ウェブの情報の中から、的確に「玉」を選り分けるGoogleのテクノロジー、ひいてはその企業文化・世界観に大きな信頼をおいていました。Yahoo!とMicrosoftによるポータルサイト競争が行われていた1990年代から大きく進化して、テクノロジー中心で、ある意味「民主的な」ウェブの世界が立ち現れるのではないかという期待感が高まったのを記憶しています。それを、ウェブの業界の人たちは「Web2.0」というバズワードで長年表現していました。

それに対して、『キュレーションの時代』が描き出しているのは、それとは別の方向。佐々木氏はキュレーションを「無数の情報の海の中から、自分の価値観や世界観に基づいて情報を拾い上げ、そこに新たな意味を与え、そして多くの人と共有すること」と定義し、Googleが徹底的に排除してきた「人」の役割を重視しています。

大切な情報をもたらしてくれるのはアルゴリズムではなく人であるということを実感させられます。本書のイントロダクションで紹介されている、ジョセフ・ヨアキムという無名の画家と、それを発見した一人の牧師という二人の関係。また、HMV渋谷店の閉店の理由を店員の「質」に求めた、とあるブログからの引用。本書では、コンテンツor情報を収集し、意味付けして共有する「人」の存在が強調されています。

Googleは万人に対して全て同じ回答を提示するのに対して(最近ではユーザーごとにカスタマイズをした結果を出すこともありますが精度が悪い)、キュレーションの時代では、ウェブ上での人間関係によって得られる情報が異なることもあるわけです。


「主体性」に再び注目が集まる
『キュレーションの時代』を読んで感じたもうひとつの点。それは、Googleが徹底的に排除してきた「主観性・主体性」(subjectivity)が、キュレーションの時代には求められているということです。(本書では主体性・主観性という言葉は使われてませんが)

先にも述べたとおり、Googleは検索エンジンのランキングファクターから「主観」という要素を一切排除して、アルゴリズムにより「客観的」にコンテンツを選り分けています。もちろん、それはそれでとても重要です。実際に私も毎日のように多くのクエリーをGoogle先生に投げつけています。しかし、そこには「人」という要素が「ノイズ」をもたらすという人間観があるように思います。

他方、キュレーションの時代は、人と人は共感や価値観で結びついて、むしろそうした「ノイズ」さえも積極的に受け入れているように感じます。様々な要素が結びついた雑多な「場topos」や「圏sphere」がダイナミズムを形成し、新たな価値観や関係を生み出すシナプスのような役割を果たす。ソーシャルメディアプラットフォームがもつそんな可能性を垣間見るような思いです。

ただ、この「主体性」という言葉は、ある年代の人にとっては抵抗があるようです。というのも、この言葉は「戦後民主主義」が信奉したものったからです。個人的に世代論は好きではないですが、50代くらいの人たちに抵抗感が強いように思います。なぜなら、彼らは「戦後民主主義」をある意味で否定してきた面があるためです。確かに、戦後民主主義派が言う「主体性」という言葉には「日本社会の民主化を推進する主体」という、どこか道徳性の強い印象があります。さらに、「日本社会」というナショナルな空間の存在を自明視しているようなところも、グローバル化した現代から見ると違和感があります。

しかし、ナショナルな空間を前提としない主観性・主体性のあり方は可能です。むしろ、情報を発信する人と受信する人がフラットでつながる社会においては、コンテンツや情報を発掘して意味付けする主体性が求められるのだと思います。


時代を切り開くのはいつでもキュレーター
私が学生時代から尊敬している学者に、私の「師匠」の師匠であるミッシェル・フーコーとエドワード・サイードがいます。

彼らは佐々木氏の言う独自の「視座」を持っていました。視座とは単にものごとを見る立ち位置というだけでなく、世界観や価値観といった「人の考え方」を含むものと説明されています。

フーコーやサイードは、自分たちの視座を知識生産の場に接合して、正当なアカデミズムの言説を大きく揺さぶりました。それまで「異常」「野蛮」とされた文明社会の「アウトサイダー」(=他者)の視点から、エスタブリッシュメントの世界を逆照射したのです。すると、排除されていた人たちが、人間性という観点からみると実は私たちと何ら変わらないことが明らかになり、逆にエスタブリッシュメントこそが異常とさえ思えてくるのです。

佐々木氏は本書の中でキュレーターが「アウトサイダーアート」をメインストリーム押し上げた経緯を紹介していますが、その意味ではフーコーやサイードもキュレーターの要素を多分に持っています。(実はアウトサイダーアートを見出したキュレーターにフーコーやサイードは大きな影響を与えていたりします。)

これまで「ささいなもの」と見過ごされていた物事を、独自の視座で意味付けをして世界を再編成する。そういう才覚を持ったキュレーターはどの時代にも存在していたわけです。

では、ソーシャルメディアプラットフォーム以前と以降で何が違うのか?

それは、ソーシャルメディアでは、日常生活を送る生活者の誰でもがキュレーターとして影響力を持ちうるということです。マスメディアが隆盛を極めていた時代には、「消費者」にカテゴライズされて、受身の存在でしかなかった個人。情報の受け手と発信者がフラットにつながる世界においては、その個人の問題意識や価値観が共有されて拡散していくことも十分に予見できるわけです。たとえ、小さな圏域でしかなくても、そのなかで生活者同士が結びつき、主体性を持ったひとりの生活者として向きあうことができる。そういう世界が生まれているわけですね。


キュレーションは「ハック」できる「スキル」ではない
私が大学院で修士論文のテーマを考えているときに指導教授から言われた言葉があります。「これを考えていないと生きている意味がないと思えることを研究しなさい」。日本の文系の学問の世界では従来、ヨーロッパの学者の著作を研究して2~3冊の本を書き、運がよければ研究生活の最後にその学者の研究室で一緒に写真を撮ってもらうというような人たちも多くいました。「ヨーロッパの学者」の「視座」を研究するのはいいけれど、修士論文を書くことの異議は独自の視座をもつ人間になりなさい、ということなのだと思っています。

先に紹介したフーコーやサイードは独自の視座を持った学者でした。その視座には彼らの生き方や価値観が反映され、生涯をかけてそれに取り組んでいました。

佐々木氏が言う視座はそこまで重いものではないかもしれません。しかし、キュレーションという行為が「ハック」して「スキル」としてファッショナブルに身につけられるようなものではないことは確かです。(それは、本書の中で紹介されている優秀なキュレーターの例を見れば分かります)

それは、単なる「まとめ」記事を書くスキルとは違った、もっと人の価値観や生き方と結びついたものと言えるのではないでしょうか。

なんだかまとまりのないことを書いてきましたが…このブログの読者の方々に期待されていることの一つは、この本とノマドワーカーってどう関係あるの?ということでしょう。

既存の組織のあり方から離れてノマド的に生きるためには、自分だけの視座を持ち、それに共感してくれる人たちの圏域を生み出す(もしくは見出す)ことがとても大切なんだと思います。それは、他者に依存しない(あてにしない)生き方をする上で重要なことではないでしょうか。


キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)
キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)佐々木 俊尚

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<追記>
佐々木俊尚さんからTwitterでコメント頂きました

アルゴリズムのWeb2.0から、ソーシャルを軸とした次の時代へ。その転換点がいま。良い書評ありがとうございます。/【書評】キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる http://t.co/TG2DT3lless than a minute ago via Tweet Button

2011年2月6日日曜日

WebSite expertのFacebook特集


『WebSite expert(ウェブサイト・エキスパート)』34号でFacebook特集が組まれていました。

先日も「エコノミスト」と「週刊ダイヤモンド」のFacebook特集をご紹介したばかりですが、ウェブサイト・エキスパートはより専門的な内容になっています。前二誌が初心者向け・一般向けだとすると、こちらはウェブ業界関係者向け or 企業のPR担当者向けといった位置づけになるかと思います。

そのため、一歩踏み込んだ形になりますが、Facebookが注目されている理由が具体的に、そしてよりはっきりと理解できます。海外・国内の企業が、実際にFacebook上でマーケティングを行なった事例が豊富に掲載されていて、実例に即した形で紹介されているのが強みです。


「知人・友人」フィルタで情報を選り分ける
英語圏ユーザーがインターネットをするとき、ホームの設定が今やGoogleからFacebookに変化していることが最近ではよく言われています。京井良彦さんが『ロングエンゲージメント』の中で記述しているように、消化できる情報量のキャパを、流通する情報量が大幅に上回る「情報過多」の時代になりました。Facebookではログインすると、顔見知りからの情報(つぶやき、写真、ウェブのリンク、「いいね!」、その他のウェブ上での行動履歴)が表示されます。加藤たけしさんが本誌で図式しているように、「信頼的でう情報は信頼できる友人や家族から」というデータがあるようです。つまり、Facebookでは、自分が興味がある必要な情報だけを効果的に取得できるというわけです。

玉石混交な情報の中から、「検索」ではなく「知人・友人」というフィルタを通じた信頼性の高い情報を得られるのがFacebookの強みになるということです。Facebookにはオンラインでの活動履歴を集約して、瞬時に友人に知らせることができます。Facebook以前は、Gmail、Flickr、Youtube、Twitterなど、複数のサイトを利用しなければいけなかったのですが、Facebookはそれらの機能を全て内包しシームレスに接合することに成功したと言えるでしょう。この流れが進めば、検索サイトとしてのGoogleの存在意義も問われてくると思います。


マーケティングツールとしてのウォールの可能性
もう一つ本誌の中ではマーケティングツールとしてのFacebookが強調されています。

Facebookにログインするとウォールというものが表示されます。友人登録している人たちが、どんな発言をしたか、誰にコメントをつけたか、誰と友だちになったか…などの行動履歴の一覧です。Twitterのタイムラインをもっとリッチにしたイメージといえばいいでしょうか。Twitterの場合は、リアルには知らない有名人のつぶやきが流れるケースも多いですが、Facebookの場合は原則はリアルの友だちの履歴だけが表示されます。

マーケティングツールとしてFacebookを活用したい人は、そこに目をつけています。本誌でも紹介されているように2007年5月にFacebookアプリをリリースしました。Facebookという「プラットフォームを公開」して、第三者がFacebook内で動作するアプリを誰でも作れるようにしたわけです。また、近年は「ファンサイト」をつくる企業が登場し、顧客と企業を結ぶコミュニティを構築する事例が増えてきました。

例えば友だちがアプリを使い始めたり、ファンページでアクションを起こした場合、その人の友だち全員のウォールに通知されることになります。つまり、その人が100人の友だちがいたら100人のウォールに「露出」することができるというわけです。Facebookのアクティブユーザー(毎日ログインするユーザー)は約半数(石塚亮)と言いますから、多くのユーザーの目に止まりやすいと期待されています。

本誌ではFacebookを活用するバンダイナムコゲームスの担当者のインタビューが掲載されています。Facebookの可能性、課題、運用のコツなど、担当者が知っておくべきポイントが分かりやすくまとまっています。

1章:インフルエンス
1-1:Facebookはどうして世界一のSNSになったか?……石塚亮
1-2:エンジニアリング企業としてのFacebook……小山哲志
2章:ビジネス
世界を席巻するFacebookとソーシャルメディア後進国の日本……加藤健
事例1:ユニクロ 面白いコンテンツでユニクロを知らない世界にアピールする……取材・執筆 毛利勝久
3章:アプリケーション
バンダイナムコゲームス~ユーザとキャッチボールできるプラットフォームを……取材・執筆 田口和裕
4章:パーソナルユース
4-1:「統合」に見るFacebookのインターフェース……和田裕介
4-2:マイナーホビーのファンページを作る……ただただし
4-3:イベント開催にファンページを活用する……森嶋良子
事例2:サイバーエージェント アプリ,広告,採用にと幅広く活用……取材・執筆 毛利勝久

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2011年2月2日水曜日

GoogleプレイスiPhoneアプリを「自分ナビ」として活用する

先日リリースされたGoogleプレイスのiPhoneアプリをしばらく活用してみました。
モバイルワーカーはもちろん、営業の人が外出先で活用する方法をご紹介。そして、最後にGoogleプレイスに登録しておくと便利なスポット一覧をまとめました。

マップアプリでも同じ様な使い方ができますが、Googleプレイスはスポット検索をもっと迅速に実行してくれます。

例えば、外出先で無線LANを使いたい、銀行に立ち寄りたい、コンビニでコピーやプリントアウトをしたい、というときなどに便利です。

そういう時は、あらかじめマクドナルド、スタバ、銀行、コンビニなどを登録しておきます。そうすると、ワンクリックで最寄りのスポットを探して、そこまでの道順も案内してくれます。初めて行く場所で活躍してくれそうです。

まさに自分専用にカスタマイズされた簡単ナビと言えるでしょう。

↑Googleプレイスのトップページ。「Restaurants」「Caffee」など、デフォルトで複数のアイコンが表示されています。これをクリックすると「Restaurants」「Caffee」という単語でマップを検索する仕組みですが、日本では当然英語ではなく日本語にしないと使い物になりません

そこで、よく利用するスポットをカスタムで追加します。右上の「+」ボタンをクリック。


「スタバ」(もしくは「スターバックス」)と入力して「検索」をクリック


↑すると近くにあるスタバの一覧が表示されます。その中から1つどこかクリックしてみましょう。


↑するとスタバの店舗の詳細ページが表示されます。道順(ルート)を検索するためには「Directions to here」をクリックします。


↑するとiPhoneのマップアプリが起動して経路が表示されます。


↑ちなみに、スタバの一覧が表示されたときに右上のアイコンをクリックすると地図上にマッピングされます。これは知ってる場所の場合、位置関係や距離を直感的に把握できるので役立ちます。


↑トップ画面に戻ると「ス」というアイコンが表示されます。「スタバ」の頭文字をとってそれをアイコン化する仕様のようです。

このように、チェーン店などを登録しておくといざというとき便利です。


<登録しておくと便利なスポット>